アメコミ読書ブログ

主にマーベルコミックについて、邦訳から原書まで、読んだものを紹介します。

マーベル グラフィックノベル・コレクション(54) ウルヴァリン:ウェポンX

アシェットのマーベル グラフィックノベル・コレクション第54号はウルヴァリンにアダマンチウムが移植されたウェポンX計画の経緯を描いたバリー・ウインザー=スミスの90年代の名作、ウルヴァリン:ウェポンXでした。

ダークなストーリーでアートもかなりハードボイルドというか、非人道的・グロテスクな描写もあったりするので人を選ぶ部分はあるかもしれませんが個人的には面白かったです。分量はさほどでもないのですが、ストーリーに無駄がなく濃厚ですし、途中のドンデン返しからのさらにドンデン返しでまるで映画を見ているような感じでした。また、巻末の解説の中では教授が電話で話していた相手に関するある事実が語られていたりと本文だけでなくこちらも必読です。

しかしウルヴァリンは単独シリーズでは大体悲惨な目に会って本当に不憫です…。

なお、本作は90年代に小プロさんから邦訳が出ていたようです。今でも適価での中古品の入手が可能なようですが、1995年発売とさすがに古いもので状態の劣化もあるでしょうから今から読みたいという方は今回のアシェット版が良いかもしれません。

Civil War: X-Men Universe

X-MEN関連誌でのシビルウォータイインをまとめたもので、以下のエピソードが収録されています。

  • X-FACTOR #8-9
  • CABLE & DEADPOOL #30-32

当時のX-FACTORはマルチプルマン(マドロックス)を中心にミュータントタウンで活動する探偵社(ハウス・オブ・Mの重要人物だったレイラもX-FACTORに身を寄せているようです)のようですが、そこに(サン・オブ・Mで)ミュータントパワーを取り戻し、さらに触るだけでパワーを復活させることができるようになったクイックシルバーが転がり込んできます。隠されたM-DAYの真実を知ったX-FACTORはX-MEN本体と対立し、超人登録法にも反対の立場を取ります。一応ゲストとしてスパイダーマンが登場したり、超人登録法について触れたりはしているものの、シビルウォー本編との関わりはほぼなく、X-FACTORのストーリーが進行している感じです。話が地味というのもあるのですが、アートもハードボイルドな感じでなかなか取っ付きづらさがあるシリーズですね。

ケーブル&デッドプールはケーブルとデッドプールがチームアップしているシリーズのようなのですが、政府公認のお墨付きを与えられヒーロー狩りをするデッドプールと超人登録法に警笛を鳴らすケーブルが対立するのですが、ケーブルの策略によってデッドプールは職を失ってしまい休戦するのでした。ケーブルはここまでやっておきながらシビルウォー本編では初回の敗戦であっさりキャップ陣営を離れているのがどうにも…という気がしなくもないのですが、立場的には中立だったということでしょうか。ケーブル&デッドプールシリーズは邦訳も出ていましたのでそちらも読んでおくとより楽しめるのかもしれません。

シビルウォーのタイインの中では本編との関連も薄く、タイトル的にもマニアックな部類だと思うのですが、こちらももちろんヴィレッジブックスさんから邦訳が出ていました。

スパイダーマン:スパイダーアイランド

小プロさんのアメコミ配信3周年フェア電子書籍の30%引きセールがやっていたのでクローン・サーガの関連エピソードということで気になっていたスパイダー・アイランドを購入して読んでみました。

時系列的にはジョナがニューヨーク市長になったあとの話のようで、ジャッカルの暗躍によってニューヨーク市民がスパイダーマンの能力を得てしまうスパイダー感染症に感染してしまうというものです。今思えばロックダウンやワクチン開発など新型コロナウィルスのパンデミックと重なるところもありますね。

ストーリー自体はアベンジャーズファンタスティック・フォーなども登場する王道エンターテイメントという感じなのですが、ジャッカルとクローン関連のストーリーやエージェント・ベノムなどこれまでの経緯を知らないと意味がよくわからない部分も多いのではないかと思います。そういう意味では若干敷居の高さはあるかもしれませんが、アートも含めてカラッとした明るい作風ですし、細かいことは気にせず読んでも楽しめると思います。巻末にはダン・スロットのインタビューも収録されておりこちらも必読です。

なお、小プロさんのアメコミ配信3周年フェアは2月14日まで、スパイダーマンデッドプール等を中心に多数のマーベル邦訳の電子書籍が30%引きとなっています。気になるものがある方はこの機会に購入されてみてはいかがでしょうか。

マーベル グラフィックノベル・コレクション(53) シー・ハルク:シングル・グリーン・フィメール

アシェットのマーベル グラフィックノベル・コレクション第53号はシー・ハルク:シングル・グリーン・フィメールでした。

アベンジャーズの一員として活躍する傍ら弁護士としても活躍するシーハルクですが、勤務していた弁護士事務所を解雇されてしまい、ライバル事務所でシーハルクではなくジェニファー・ウォルターズとして働くことになります。弁護士ドラマのように1エピソードに1つずつ事件を解決していく形式で小気味よく進みますし、特に前半のジュアン・ボビーロのアートはスッキリしていて読みやすいのですが、最後の2エピソードは連作でアートも別の方でアメコミ感が強くなっています。ストーリー的にも法廷メインではなく少し毛色が違う感じです。個人的にはずっと前半の感じが良かったかなと思います。

なお、翻訳が微妙なことで定評のあるマーベル グラフィックノベル・コレクションですが、本作はトップクラスにいい感じの翻訳だと思います。

ドラマシリーズにあわせて小プロさんから邦訳が出ていました。アシェット版では本作のみですが、小プロさんからは続編のスーパーヒューマン・ロウも出ています。どちらも表紙は日本語版オリジナルのようです。値段は高めですが、きちんとシリーズの最後まで読めますし、日本語解説が付属することも考えるとマーベル グラフィックノベル・コレクションを集めている方以外はこちらを買った方がよいかもしれません。

マーベル グラフィックノベル・コレクション(52) ライフ&デス・オブ・キャプテン・マーベル Part 1

アシェットのマーベル グラフィックノベル・コレクション第52号はライフ&デス・オブ・キャプテン・マーベル Part 1でした。

70年代のジム・スターリンによる作品で、その後のキャプテン・マーベルの方向性を決定付けただけでなく、サノスの初登場エピソードでもある重要な作品とのことなのですが、このアシェット版が初邦訳のようです。今とは全然違うドラックスも活躍しますし、アベンジャーズやシングも登場します。個人的にはストーリーの一番重要なポイントであるマー=ベルが生まれ変わるあたりがちょっと何がなんだかよくわからなかったのでw 何度か読み返してみようと思います。

なお、Part 2はマーベル グラフィックノベル・コレクションにしてはめずらしくPart 1から5ヶ月ほどと比較的短期間での刊行予定となっています。一応このPart 1もそれなりにキリのいいところで話が終わるのですが、続きはやはりサノスとの対決になるのでしょうか。気になるところです。

X-MEN:ザ・トライアル・オブ・マグニートー

小プロさんから出ているクラコア期のX-MENの邦訳シリーズの続編で、ヘルファイア・ガラ後に死体で発見されたワンダ、容疑者として浮上するマグニートー…というところから始まります(邦訳版のヘルファイア・ガラはダイジェスト版なのでワンダが死体で発見されるシーンは収録されていないのですが、付属の解説書で未掲載のエピソードがカバーされています)。

前半はサスペンス調なのですが、後半はちょっと雑というか、これまでのシリーズと比べると無理矢理感があるなぁ、とは思いましたが(トードは結局何だったんでしょうか…)、本作を経て過去に死んだミュータントたちも復活できるようになったという点では今後の展開において重要なエピソードなのかもしれません。しかしここでサンダーバードの復活とは熱いですね。また、これまでは白いコスチュームだったマグニートーですが、今回は黒、そしていつのも見慣れた赤いコスチュームでも登場します。白いコスチュームも良かったですが、黒いコスチュームも格好良いですね。

小プロさんの今後の出版予定によるとクラコア期のX-MENは最後まで出そうな勢いなので引き続き邦訳で追いかけていこうと思います。

Civil War: X-Men

まだまだ続くシビルウォータイインの旅(疲れてきた…)ですが、今回はX-MENのショートシリーズで、Civil War: X-Men (2006) #1-4が収録されています。

エグゼビア学院から逃亡したミュータントたち(The 198と呼ばれているようです)をO*N*E(Office of National Emergency)側に付いているビショップが追うというもので、ビショップとThe 198を守ろうとするサイクロップスたちとの戦闘になるのですが、背後でレイザー将軍とジョニー・ディーが暗躍していたことが判明し、最終的にはトニーやキャロルも含めて共闘するというストーリーです。ハウス・オブ・M後のThe 198というショートストーリーからの流れのようで、シビルウォー本編ではトニーとエマの会談があっただけですが、その裏ではこんな事件が起きていたんですね。

ヴィレッジブックスさんから出ていた邦訳はAmazonでは中古の出品がわずかにあるのみですが、ブリスターコミックスさんではまだ新品の入手が可能なようです。

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