アメコミ読書ブログ

主にマーベルコミックについて、邦訳から原書まで、読んだものを紹介します。

シークレット・ウォーズ

様々なイベントを挟みつつ長らく続いたジョナサン・ヒックマンによるインカージョンにまつわるストーリーの最終章となる作品です。

結局最後に残ったアース616とアース1610とのインカージョンを防ぐことはできず、その結果生まれたのはなんとドクター・ドゥームが治めるバトルワールドという世界でした。バトルワールドの秩序のために尽力するドゥームとストレンジ、そしてアース616とアース1610から生き残ったスーパーヒーローとカバルの面々が戦いを繰り広げますが、最終的にはモレキュールマンとリードの力によってバトルワールドは崩壊し、世界は再構築されたのでした。

基本的にはインカージョンはなかったことになり、引き続き元のアース616でマーベル世界が続くことになるのですが、マイルスがアース616で活動するようになったり、顔の傷が消えたドゥームがアイアンマンになったりとその後の展開に大きな影響を受けたシリーズもありました。また、消滅したと思われていたアース1610もその後、スパイダーメンIIで実は復活していたことが明らかになっています。

ここまで広げた風呂敷を一体どうやって畳むのかと思っていたのですが、若干無理矢理感はあるものの過去のオマージュも活かし、ちゃんと最終章に相応しい盛り上げをしつつマーベル世界をリセットするという難しい仕事をきっちり果たした作品なのではないかと思います。イサド・リビックのアートも一歩間違えればギャグとも取られかねない本作のストーリーを説得力あるものにするのに大きな役割を果たしていると思います。