アメコミ読書ブログ

主にマーベルコミックについて、邦訳から原書まで、読んだものを紹介します。

ハウス・オブ・X/パワーズ・オブ・X

ジョナサン・ヒックマンによるX-MENのHOUSE OF X #1-6とPOWERS OF X #1-6を収録した超大作です。450ページものコミックに加え、普段は小冊子として付属する解説が今回はこれまでのX-MENの歴史などもカバーされたコミックと同サイズのものがスリーブケースに収められているという特別仕様です。

ミュータントを救うために何度も転生を繰り返すモイラの視点を借りることでこれまでのX-MENのシリーズすべてを取り込みつつ、最終的にミュータントの理想国家であるクラコアの樹立までを描く、というジョナサン・ヒックマンならではの壮大かつ緻密なストーリーです。アートは癖がなく読みやすいのですが、内容はかなり難解で序盤のうちは意味が全然わかりません。ただ、読み進めるにつれて話が繋がってきます。1冊できれいに完結しており、基本的には本作だけで理解できるようになっているのですが、それでも難しいのできちんと理解するには何度か繰り返し読む必要があるかもしれません。

Kindleで電子版も出ており、紙版より安価に購入できるのですが、本作に関してはできれば紙版で購入することを個人的にはおすすめしたいです。電子版では一冊にまとまったものと別に12冊に分かれた分冊版も出ています(分冊版には解説は付くのだろうか?)。ただ、分冊版を全巻揃えると紙版と同じ価格になってしまうため、購入するのであれば紙版か1冊にまとまった電子版がよいと思います。

本作の後、物語は現在小プロさんから邦訳が刊行されている現行のX-MENのシリーズに続くようです。こちらも引き続きジョナサン・ヒックマンが担当しており、Vol.2、Vol.3も邦訳が出るようです。本作はこれまでのX-MENをリセットして新たなシリーズに転換するためのターニングポイントといえる作品でもあり、そういう意味でも必読です。